アダプティブQoSポリシー グループでは、ボリューム サイズに基づいてスループットの上限と下限が自動的に調整され、TBまたはGBあたりのIOPSが一定に維持されます。ONTAP 9.5以降では、QoSポリシーにブロック サイズを指定することでMBpsのしきい値も同時に適用できます。
アダプティブQoSポリシーにIOPSのしきい値を割り当てた場合、各ワークロードで発生する処理数にのみ制限だけが適用されます。ワークロードを生成するクライアントに設定されているブロック サイズによっては、一部のIOPSにはるかに多くのデータが含まれ、処理を実行するノードの負荷がはるかに大きくなることがあります。
MBps = (IOPS * ブロック サイズ) / 1000平均IOPSが3,000のワークロードについて、クライアントのブロック サイズが32KBに設定されている場合、このワークロードの実効MBpsは96です。平均IOPSが3,000の同じワークロードについて、クライアントのブロック サイズが48KBに設定されている場合は、このワークロードの実効MBpsは144になります。この場合、ブロック サイズが大きい方がノードでの処理データが50%多くなることがわかります。
次に、アダプティブQoSポリシーにブロック サイズが定義されている場合について、クライアントで設定されているブロック サイズに基づいてどのようにイベントがトリガーされるかを見てみましょう。
ポリシーを作成し、ピーク サイズを2,500 IOPS/TB、ブロック サイズを32KBに設定します。この場合、使用容量が1TBのボリュームに対するMBpsのしきい値は80MBps((2500 IOPS * 32KB) / 1000)に設定されます。Unified Managerでは、スループットの値が定義されたしきい値を10%下回ると警告イベントが生成されます。イベントが生成される状況は次のとおりです。
使用容量 | イベントが生成されるスループットのしきい値 | |
---|---|---|
IOPS | MBps | |
1 TB | 2,250 IOPS | 72MB/s |
2 TB | 4,500 IOPS | 144MB/s |
5 TB | 11,250 IOPS | 360MB/s |
ボリュームの使用可能なスペースが2TB、IOPSが4,000、クライアントで設定されているQoSブロック サイズが32KBである場合、スループットは128MBps((4,000 IOPS * 32 KB) / 1000)になります。この場合、4,000 IOPSと128MBpsのどちらについても、ボリュームで2TBのスペースを使用する場合のしきい値を超えていないため、イベントは生成されません。
ボリュームの使用可能なスペースが2TB、IOPSが4,000、クライアントで設定されているQoSブロック サイズが64KBである場合、スループットは256MBps((4,000 IOPS * 64 KB) / 1000)になります。この場合、4,000 IOPSについてはイベントは生成されませんが、MBpsの値については256MBpsでしきい値の144MBpsを超えているためイベントが生成されます。
このため、ブロック サイズを含むアダプティブQoSポリシーに対するMBpsの違反に基づいてイベントがトリガーされた場合、[イベントの詳細]ページの[システム診断]セクションにはMBpsのグラフが表示されます。アダプティブQoSポリシーに対するIOPSの違反に基づいてイベントがトリガーされた場合は、[システム診断]セクションにはIOPSのグラフが表示されます。IOPSとMBpsの両方に違反がある場合は、2つのイベントが表示されます。
QoS設定の調整の詳細については、『ONTAP 9 パフォーマンス管理パワー ガイド 』を参照してください。