ONTAPでサポートされる環境変数

環境変数は、NDMP対応のバックアップ アプリケーションとストレージ システムの間でバックアップまたはリストア処理に関する情報を伝えるために使用されます。ONTAPでサポートされる環境変数には、デフォルト値が関連付けられています。ただし、これらのデフォルト値は、手動で変更できます。

バックアップ アプリケーションによって設定された値を手動で変更すると、アプリケーションが想定外の動作をすることがあります。これは、バックアップ アプリケーションで想定されているバックアップまたはリストアとは異なる処理が行われるために発生します。ただし、変更を適切に行うと、問題の特定や回避に役立つ場合があります。

次の表は、動作がダンプとSMTapeで共通であり、ダンプとSMTapeでのみサポートされる環境変数を示しています。また、ONTAPでサポートされる環境変数が使用された場合の動作の説明も記載されています。

注: ほとんどの場合、値を指定する変数では、Yの代わりにTNの代わりにFを使用できます。

ダンプとSMTape用にサポートされる環境変数

環境変数 有効な値 デフォルト 説明
DEBUG YまたはN N

デバッグ情報を表示することを指定します。

FILESYSTEM string なし

バックアップされるデータのルートのパス名を指定します。

NDMP_VERSION return_only なし
NDMP_VERSION変数は変更しないでください。NDMP_VERSION変数はバックアップ処理によって作成され、NDMPのバージョンを返します。

ONTAPは、内部使用のため、および情報としてバックアップ アプリケーションに渡すために、バックアップ時にNDMP_VERSION変数を設定します。NDMPセッションのNDMPバージョンは、この変数では設定されません。

PATHNAME_SEPARATOR return_value なし

パス名の区切り文字を指定します。

この文字はバックアップ対象のファイルシステムによって異なります。ONTAPの場合は、/という文字がこの変数に代入されます。NDMPサーバでは、この変数を設定してからテープ バックアップ処理を開始します。

TYPE dumpまたはsmtape dump

テープ バックアップおよびリストア処理の実行がサポートされているバックアップのタイプを指定します。

VERBOSE YまたはN N

テープ バックアップまたはリストア処理の実行中のログ メッセージの数を増やします。

ダンプ用にサポートされる環境変数

環境変数 有効な値 デフォルト 説明
ACL_START return_only なし

ACL_START変数は、バックアップ処理によって作成され、直接アクセス リストアまたは再開可能NDMPバックアップ処理で使用されるオフセット値を示します。

オフセット値は、ダンプ ファイル内でACLデータ(Pass V)が始まるバイト オフセットであり、バックアップ終了時に返されます。直接アクセス リストア処理でバックアップ データを正しくリストアするには、開始時にACL_START値がリストア処理に渡されなければなりません。NDMP再開可能バックアップ処理では、ACL_START値を使用して、バックアップ ストリームにおいて再開できない部分の開始位置をバックアップ アプリケーションに伝えます。

BASE_DATE 0-1、またはDUMP_DATE -1

増分バックアップの開始日を指定します。

-1に設定すると、BASE_DATE増分指定子は無効になります。レベル0バックアップで0に設定すると、増分バックアップが有効になります。2回目以降のバックアップでは、前回の増分バックアップのDUMP_DATE変数の値がBASE_DATE変数に代入されます。

これらの変数は、LEVELまたはUPDATEに基づく増分バックアップに代わるものです。

DIRECT YまたはN N

リストアの際に、テープ全体をスキャンするのではなく、ファイル データがある場所まで直接早送りすることを指定します。

DARを利用するには、バックアップ アプリケーションで位置情報を提供する必要があります。この変数をYに設定すると、バックアップ アプリケーションによって、ファイルまたはディレクトリ名と位置情報が指定されます。

DMP_NAME string なし

複数サブツリー バックアップの名前を指定します。

この変数は、複数サブツリー バックアップに必須です。

DUMP_DATE return_value なし
この変数を直接変更することはできません。BASE_DATE変数が-1以外の値に設定された場合にバックアップによって作成されます。

DUMP_DATE変数は、ダンプ ソフトウェアによって計算された32ビットの時刻値の前に32ビットのレベル値を付けることによって生成されます。レベルは、BASE_DATE変数に最後に渡されたレベル値から増分されます。増分後の値が、次回の増分バックアップのBASE_DATE値として使用されます。

ENHANCED_DAR_ENABLED YまたはN N 拡張DAR機能が有効になっているかどうかを示します。

拡張DAR機能では、ディレクトリDARおよびNTストリームを含むファイルのDARをサポートします。拡張DAR機能を使用すると、パフォーマンスが向上します。

リストア時に拡張DAR機能を使用できるのは、次の条件が満たされる場合のみです。

  • ONTAPで拡張DARがサポートされている。
  • バックアップ時にファイル履歴が有効である(HIST=Y)。
  • ndmpd.offset_map.enableオプションがonに設定されている。
  • リストア時にENHANCED_DAR_ENABLED変数がYに設定されている。
EXCLUDE pattern_string なし

データをバックアップするときに除外するファイルまたはディレクトリを指定します。

除外リストは、カンマで区切られたファイルまたはディレクトリ名のリストです。ファイルまたはディレクトリの名前がリスト内の名前の1つに一致した場合は、バックアップから除外されます。

除外リストで名前を指定する際に適用されるルールは次のとおりです。

  • 正確なファイル名またはディレクトリ名を使用します。
  • アスタリスク(*)はワイルドカード文字であり、文字列の最初または最後の文字としてのみ使用できます。

    使用できるアスタリスクの数は文字列ごとに2つです。

  • ファイルまたはディレクトリ名のカンマの前にバックスラッシュ(\)記号を付けます。
  • 除外リストに含めることができる名前は32個までです。
注: 同時にNON_QUOTA_TREEをYに設定している場合、バックアップから除外するように指定したファイルまたはディレクトリは除外されません。
EXTRACT YN、またはE N

バックアップ データセットのサブツリーがリストアされるように指定します。

バックアップ アプリケーションでは、抽出されるサブツリーの名前を指定します。指定されているファイルが、内容をバックアップ済みのディレクトリに一致した場合、ディレクトリは再帰的に抽出されます。

DARを使用せずに、リストア時にファイル、ディレクトリ、またはqtreeの名前を変更するには、EXTRACT環境変数をEに設定する必要があります。

EXTRACT_ACL YまたはN Y

リストア処理でバックアップ ファイルのACLがリストアされるよう指定します。

デフォルトでは、DAR(DIRECT=Y)を除いて、データをリストアするときにACLがリストアされます。

FORCE YまたはN N

デスティネーション ボリュームで使用可能なボリューム スペースとinodeをリストア処理で確認する必要があるかどうかを指定します。

この変数をYに設定すると、デスティネーション パスで使用可能なボリューム スペースとinodeの確認がリストア処理でスキップされます。

デスティネーション ボリュームのボリューム スペースまたはinodeが不足している場合は、デスティネーション ボリュームで使用可能なボリューム スペースとinodeで許容される量のデータがリストア処理によってリカバリされます。ボリューム スペースとinodeを使用できない場合は、リストア処理が停止します。

HIST YまたはN N

ファイル履歴情報をバックアップ アプリケーションに送ることを指定します。

ほとんどの市販のバックアップ アプリケーションでは、HIST変数をYに設定します。バックアップ処理の速度を上げる場合や、ファイル履歴収集に関する問題のトラブルシューティングを行う場合は、この変数をNに設定することができます。

注: バックアップ アプリケーションがファイル履歴をサポートしていない場合は、HIST変数をYに設定しないでください。
IGNORE_CTIME YまたはN N

前回の増分バックアップ後に変更されたのがctime値だけである場合は、ファイルを増分バックアップしないことを指定します。

ウィルススキャン ソフトウェアなどの一部のアプリケーションは、ファイルやファイル属性が変更されていなくても、inode内のファイルのctime値を変更します。結果として、変更されていないファイルが増分バックアップによってバックアップされることがあります。IGNORE_CTIME変数は、ctime値が変更されたために、増分バックアップに許容範囲を超える時間または容量が消費される場合にだけ指定してください。
注: NDMP dumpコマンドでは、IGNORE_CTIMEはデフォルトでfalseに設定されます。trueに設定すると、次のようにデータが失われる可能性があります。
  1. ボリューム レベルの増分ndmpcopyIGNORE_CTIMEtrueに設定されている場合、ファイルが削除され、ソースのqtree間で移動されます。
  2. ボリューム レベルの増分ダンプでIGNORE_CTIMEtrueに設定されている場合、ファイルが削除され、増分リストア時にソースのqtree間で移動されます。
この問題を回避するには、ボリューム レベルのNDMP dumpsまたはndmpcopyで、IGNORE_CTIMEfalseに設定する必要があります。
IGNORE_QTREES YまたはN N

リストア処理でバックアップqtreeからqtree情報をリストアしないことを指定します。

LEVEL 0-31 0

バックアップ レベルを指定します。

レベル0は、データセット全体を複製します。0より大きい値に指定された増分バックアップ レベルでは、前回の増分バックアップ後に新規作成または変更されたすべてのファイルが複製されます。たとえば、レベル1では、レベル0バックアップ後に新規作成または変更されたファイルがバックアップされ、レベル2では、レベル1バックアップ後に新規作成または変更されたファイルがバックアップされます。

LIST YまたはN N

データを実際にはリストアせずに、バックアップ ファイル名とinode番号を一覧表示します。

LIST_QTREES YまたはN N

データを実際にはリストアせずに、バックアップqtreeを一覧表示します。

MULTI_SUBTREE_ NAMES string なし

バックアップが複数のサブツリーであることを指定します。

複数のサブツリーは、改行で区切られたnullで終わるサブツリー名のリストの文字列で指定されます。サブツリーは、共通のルート ディレクトリを基準とした相対パス名によって指定され、リストの最後の要素として指定されなければなりません。

この変数を使用する場合は、DMP_NAME変数も使用する必要があります。

NDMP_UNICODE_ FH YまたはN N

ファイルのNFS名のほかにUnicode名もファイル履歴情報に含めることを指定します。

このオプションは、ほとんどのバックアップ アプリケーションでは使用されないため、バックアップ アプリケーションがこれらの追加のファイル名を受け取るように設計されている場合以外は設定しないでください。HIST変数も設定する必要があります。

NO_ACLS YまたはN N

データのバックアップ時にACLを複製しないように指定します。

NON_QUOTA_TREE YまたはN N

データのバックアップ時にqtree内のファイルおよびディレクトリを無視するように指定します。

Yに設定すると、FILESYSTEM変数によって指定されたデータセット内のqtreeの項目はバックアップされません。この変数は、FILESYSTEM変数でボリューム全体が指定された場合のみ有効になります。NON_QUOTA_TREE変数は、レベル0バックアップでのみ機能し、MULTI_SUBTREE_NAMES変数が指定された場合は機能しません。

注: 同時にNON_QUOTA_TREEをYに設定している場合、バックアップから除外するように指定したファイルまたはディレクトリは除外されません。
NOWRITE YまたはN N

リストア処理でデータをディスクに書き込まないことを指定します。

この変数はデバッグのために使用されます。

RECURSIVE YまたはN Y

DARリストア中にディレクトリ エントリが拡張されるように指定します。

DIRECTおよびENHANCED_DAR_ENABLED環境変数も有効に(Yに設定)する必要があります。RECURSIVE変数が無効に(Nに設定)されている場合、元のソース パスにあるすべてのディレクトリへの権限およびACLだけがテープからリストアされ、ディレクトリの内容はリストアされません。RECURSIVE変数がNに設定されている場合、またはRECOVER_FULL_PATHS変数がYに設定されている場合、リカバリ パスは元のパスで終了する必要があります。

注: RECURSIVE変数が無効で、複数のリカバリ パスがある場合には、すべてのリカバリ パスを最長のリカバリ パス内に含める必要があります。そのように設定しないと、エラー メッセージが表示されます。

たとえば、次に示すリカバリ パスはfoo/dir1/deepdir/myfileに含まれているため、すべて有効です。

  • /foo
  • /foo/dir
  • /foo/dir1/deepdir
  • /foo/dir1/deepdir/myfile
次のリカバリ パスは無効です。
  • /foo
  • /foo/dir
  • /foo/dir1/myfile
  • /foo/dir2
  • /foo/dir2/myfile
RECOVER_FULL_PATHS YまたはN N

フル リカバリ パスの権限およびACLが、DARのあとでリストアされるように指定します。

DIRECTおよびENHANCED_DAR_ENABLEDも有効に(Yに設定)する必要があります。RECOVER_FULL_PATHSがYに設定されている場合、リカバリ パスは元のパスで終了する必要があります。デスティネーション ボリュームにすでにディレクトリが存在する場合には、権限およびACLはテープからリストアされません。

UPDATE YまたはN Y

LEVELに基づく増分バックアップを有効にするためにメタデータ情報を更新します。

SMTape用にサポートされる環境変数

環境変数 有効な値 デフォルト 説明
BASE_DATE DUMP_DATE -1

増分バックアップの開始日を指定します。

BASE_DATE は、参照Snapshot識別子の文字列表現です。SMTapeでは、BASE_DATE文字列を使用して参照Snapshotコピーを探します。

BASE_DATE は、ベースライン バックアップの場合は必要ありません。増分バックアップの場合は、前回のベースライン バックアップまたは増分バックアップのDUMP_DATE変数の値がBASE_DATE変数に代入されます。

バックアップ アプリケーションは、前回のSMTapeのベースライン バックアップまたは増分バックアップのDUMP_DATE値を代入します。

DUMP_DATE return_value なし
SMTapeバックアップの終了時に、そのバックアップで使用したSnapshotコピーを識別する文字列識別子がDUMP_DATEに含まれます。このSnapshotコピーを、次回の増分バックアップの参照Snapshotコピーとして使用できます。

結果のDUMP_DATEの値が、次回の増分バックアップのBASE_DATE値として使用されます。

SMTAPE_BACKUP_SET_ID string なし

ベースライン バックアップに関連付けられている増分バックアップのシーケンスを識別します。

バックアップ セットIDは、ベースライン バックアップで生成される128ビットの一意のIDです。バックアップ アプリケーションは、増分バックアップ時にこのIDをSMTAPE_BACKUP_SET_ID変数に代入します。

SMTAPE_SNAPSHOT_NAME ボリューム内にある有効なSnapshotコピー Invalid

SMTAPE_SNAPSHOT_NAME変数をSnapshotコピーに設定すると、そのSnapshotコピーと古いSnapshotコピーがテープにバックアップされます。

増分バックアップの場合は、この変数によって増分Snapshotコピーが指定されます。BASE_DATE変数はベースラインSnapshotコピーを指定します。

SMTAPE_DELETE_SNAPSHOT YまたはN N

SMTAPE_DELETE_SNAPSHOT変数がYに設定されている場合は、バックアップ処理が完了すると、SMTapeで自動的に作成されたSnapshotコピーはSMTapeによって削除されます。ただし、バックアップ アプリケーションが作成したSnapshotコピーは削除されません。

SMTAPE_BREAK_MIRROR YまたはN N

SMTAPE_BREAK_MIRROR変数がYに設定されている場合は、リストアが成功すると、種類がDPのボリュームはRWボリュームに変更されます。