ハイアベイラビリティ処理およびMetroCluster処理中、ディスク所有権が一時的に変更されます。どのノードがどのディスクを所有するかをシステムが追跡する仕組みを把握しておくと役に立ちます。
ONTAPは、コントローラ モジュールの固有なシステムID(ノードのNVRAMカードまたはNVMEMボードから取得)を使用して、どのノードがどの特定のディスクを所有するかを識別します。システムのHAまたはDRの状態によっては、ディスク所有権が一時的に変わる場合があります。HAテイクオーバーまたはDRスイッチオーバーによって所有権が変わった場合、HAギブバックまたはDRスイッチバックの終了後に所有権を元に戻すことができるよう、どのノードがディスクの元々の(ホーム
)所有者であるかが記録されます。ディスク所有権の追跡には次のフィールドが使用されます。
MetroCluster構成でスイッチオーバーが実行された場合、ノードは、パートナー クラスタのノードが元々所有していたアグリゲートの所有権を取得できます。このようなアグリゲートは「クラスタ外アグリゲート」と呼ばれます。クラスタ外アグリゲートはその時点でクラスタに認識されていないアグリゲートで、したがって、DR Home ownerフィールドにはパートナー クラスタのノードが所有者として表示されます。HAペア内の従来の外部アグリゲートはOwnerとHome ownerの値が異なりますが、クラスタ外アグリゲートはOwnerとHome owner値が同じであるため、DR Home ownerの値で識別できます。
システムの状態が変化するにしたがい、これらのフィールドの値も次の表に示すように変わります。
次の状況での値 | ||||
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フィールド | 通常運用時 | ローカルのHAテイクオーバー時 | MetroClusterスイッチオーバー | スイッチオーバー中のテイクオーバー時 |
Owner | ディスクにアクセスできるノードのID | 一時的にディスクにアクセスできるHAパートナーのID | 一時的にディスクにアクセスできるDRパートナーのID | 一時的にディスクにアクセスできるDR補助パートナーのID |
Home owner | HAペア内の元のディスク所有者のID | HAペア内の元のディスク所有者のID | スイッチオーバー中にHAペアのHome ownerとなるDRパートナーのID | スイッチオーバー中にHAペアのHome ownerとなるDRパートナーのID |
DR Home owner | 空き | 空き | MetroCluster構成内の元のディスク所有者のID | MetroCluster構成内の元のディスク所有者のID |
次の図と表は、物理的にはcluster_Bに配置されているnode_A_1のディスク プール1のディスクについて、所有権が変化する例を示しています。
MetroClusterの状態 | 所有者 | ホーム所有者 | DRホーム所有者 | 注 |
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通常の状態:すべてのノードが完全に動作 | node_A_1 | node_A_1 | 該当なし | |
ローカルのHAテイクオーバー:node_A_2がHAパートナーnode_A_1に属するディスクをテイクオーバー | node_A_2 | node_A_1 | 該当なし | |
DRスイッチオーバー:node_B_1がDRパートナーnode_A_1に属するディスクをテイクオーバー | node_B_1 | node_B_1 | node_A_1 | 元のホーム ノードIDはDR Home ownerフィールドに移動します。 アグリゲートのスイッチバックまたは修復後、所有権はnode_A_1に戻ります。 |
DRのスイッチオーバーとローカルのHAテイクオーバー(二重障害):node_B_2がHA node_B_1に属するディスクをテイクオーバー | node_B_2 | node_B_1 | node_A_1 | ギブバック後、所有権はnode_B_1に戻ります。 スイッチバックまたは修復後、所有権はnode_A_1に戻ります。 |
HAギブバックおよびDRスイッチバック後:すべてのノードが完全に動作 | node_A_1 | node_A_1 | 該当なし |