ONTAPでのエクスポートポリシーキャッシュの使用方法
システムパフォーマンスを向上するために、 ONTAP はローカルキャッシュを使用してホスト名やネットグループなどの情報を格納します。これにより、 ONTAP は外部ソースから情報を取得するよりも迅速にエクスポートポリシールールを処理できます。キャッシュとは何か、またキャッシュによって何が行われるのかを理解すると、クライアントアクセスに関する問題のトラブルシューティングに役立ちます。
NFS エクスポートへのクライアントアクセスを制御するには、エクスポートポリシーを設定します。各エクスポートポリシーにはルールが含まれており、各ルールにはアクセスを要求しているクライアントに対するマッチングを行うパラメータが含まれています。これらのパラメータの一部では、ドメイン名、ホスト名、ネットグループなどのオブジェクトを解決するために ONTAP が DNS サーバや NIS サーバのような外部ソースと通信する必要があります。
外部ソースとの通信には少し時間がかかります。パフォーマンスを向上させるために、 ONTAP は、各ノード上の複数のキャッシュに情報をローカルに格納して、エクスポートポリシールールオブジェクトの解決にかかる時間を短縮します。
キャッシュ名 | 保存される情報のタイプ |
---|---|
アクセス |
対応するエクスポートポリシーへのクライアントのマッピング |
名前 |
対応する UNIX ユーザ ID への UNIX ユーザ名のマッピング |
ID |
対応する UNIX ユーザ ID および拡張された UNIX グループ ID への UNIX ユーザ ID のマッピング |
ホスト |
対応する IP アドレスへのホスト名のマッピング |
ネットグループ |
メンバーの対応する IP アドレスへのネットグループのマッピング |
showmount |
SVM ネームスペースからエクスポートされたディレクトリのリスト |
ONTAP が外部ネームサーバ上の情報を取得してローカルに格納したあとに、環境内の外部ネームサーバ上の情報を変更すると、キャッシュ内の情報が古くなる可能性があります。ONTAP は一定期間の経過後に自動的にキャッシュを更新しますが、有効期限や更新の時期およびアルゴリズムはキャッシュごとに異なります。
キャッシュに古くなった情報が含まれる理由としてもう 1 つ考えられるのは、 ONTAP がキャッシュされた情報の更新を試みたにもかかわらずネームサーバと通信しようとしてエラーが発生した場合です。この場合、 ONTAP は、クライアントの中断を避けるために現在ローカルキャッシュに格納されている情報を引き続き使用します。
その結果、成功することが想定されるクライアントアクセス要求が失敗し、エラーとなることが想定されるクライアントアクセス要求が成功する可能性があります。クライアントアクセスに関するこのような問題のトラブルシューティング時には、エクスポートポリシーキャッシュの一部を表示したり、手動でフラッシュしたりできます。