ストレージQoSがワークロード スループットを制御する仕組み
QoSポリシー グループを作成して、ポリシー グループに含まれるワークロードの1秒あたりのI/O処理数(IOPS)やスループット(MBps)の上限を制御できます。ワークロードが属するポリシー グループに上限が設定されていない場合(デフォルトのポリシー グループなど)、あるいは設定された上限がニーズに合わない場合は、上限を引き上げるか、適切な上限が設定された新規または既存のポリシー グループにワークロードを移動できます。
「従来の」QoS ポリシー グループは、単一のボリュームまたは LUN などの個々のワークロードに割り当てることができます。この場合、そのワークロードがスループットを上限まで使用できます。 QoS ポリシー グループを複数のワークロードに割り当てることもできます。その場合、スループット制限はワークロード間で「共有」されます。たとえば、3つのワークロードに9,000 IOPSのQoS制限を割り当てた場合、IOPSの合計が9,000 IOPSを超えないように制限されます。
「Adaptive
」QoS ポリシー グループは、個々のワークロードまたは複数のワークロードに割り当てることもできます。ただし、複数のワークロードに割り当てられている場合も、スループットの値を他のワークロードと共有するのではなく、各ワークロードでスループットが上限まで使用されます。さらに、アダプティブQoSポリシーは、スループットの設定をワークロードごとにボリューム サイズに基づいて自動的に調整し、ボリューム サイズが変わっても容量に対するIOPSの比率を維持します。たとえば、アダプティブQoSポリシーでピークが5,000 IOPS/TBに設定されている場合、10TBのボリュームの最大スループットは50,000 IOPSになります。ボリュームのサイズが20TBに変更されると、アダプティブQoSによって最大値が100,000 IOPSに調整されます。
ONTAP 9.5以降では、アダプティブQoSポリシーを定義する際にブロック サイズを指定できます。これにより、ワークロードが非常に大きなブロック サイズを使用していて、その結果スループットの大半を使用しているケースでは、ポリシーのしきい値がIOPS/TBからMBpsに変換されます。
グループでQoSポリシーを共有している場合、ポリシー グループ内のすべてのワークロードのIOPSまたはMBpsが設定された上限を超えると、ワークロードが調整されてそのアクティビティが制限されます。その結果、ポリシー グループ内の全ワークロードのパフォーマンスが低下することがあります。ポリシー グループの調整によって動的なパフォーマンス イベントが生成されると、イベントの説明に関係するポリシー グループの名前が表示されます。
[パフォーマンス: すべてのボリューム] ビューでは、影響を受けたボリュームを IOPS と MB/秒で並べ替えて、イベントの原因となった可能性のある使用率が最も高いワークロードを確認できます。 [パフォーマンス/ボリューム エクスプローラー] ページで、他のボリュームまたはボリューム上の LUN を選択して、影響を受けるワークロードの IOPS または MBps スループット使用量と比較できます。
ノード リソースを過剰に消費しているワークロードは、より制限の厳しいポリシー グループに割り当てます。これにより、ポリシー グループによる調整でワークロードのアクティビティが制限されて、そのノードでのリソースの使用が削減されます。一方、ワークロードで使用できるノードのリソースを増やす場合は、ポリシー グループの値を大きくすることができます。
System Manager、ONTAPコマンド、またはUnified Managerのパフォーマンス サービス レベルを使用してポリシー グループを管理できます。これには次のタスクが含まれます。
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ポリシー グループの作成
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ポリシー グループ内のワークロードの追加または削除
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ポリシー グループ間でのワークロードの移動
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ポリシー グループのスループット制限の変更
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別のアグリゲートやノードへのワークロードの移動